経理資料って何年間も保存しないとダメなので、データで保存する方がいいかもしれません―――電子帳簿保存法の改正

経理資料の保存期間って法律で決められていて、結構長いんですよね。

だからって訳ではありませんが、データで保存することもできます。ただし、一定の条件を満たしてないとダメです。

少し前から政府も紙を減らそうってことで、動いてますしね。

電子帳簿保存法が改正され、令和4年1月1日から経理資料のデータ保存が変わります。

なお、経理資料という言葉を使いましたが、法律上は帳簿書類という言葉を使います。

 

法律上の保存期間は?

保存するのは、総勘定元帳や現金出納帳などの「帳簿」と、請求書や注文書などの「書類」です。法律によって多少保存期間が違います。

法人税法

法人税法上の帳簿書類の保存期間は、

・その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間

です。

但し、欠損金が生じた事業年度は、欠損金の繰越期限の関係で、保存期間が7年間から10年間に伸びます。

たとえば、

3月決算の法人の場合、確定申告書の提出期限は5月31日

保存期間:令和3年3月期→令和10年5月31日(もし、令和3年3月期で欠損金が生じていたら、令和13年5月31日)

となります。

所得税法

所得税法上の帳簿書類の保存期間は、

・確定申告期限(3月15日)から7年間

です。

但し、請求書、見積書、契約書、納品書、送り状などは5年間です。

たとえば、令和3年分の確定申告の提出期限は令和4年3月15日なので、保存期間は令和11年3月15日となります。

青色申告or白色申告、帳簿書類の種類で、多少保存期間が異なります。

細かく覚えてられないと思いますので、とりあえず、7年間と覚えておくと良いでしょう。

詳しく知りたい方はこちら(国税庁HP)

 

電子帳簿保存法の改正

基本的に帳簿書類は、「紙」で保存することになっています。

しかし、電子帳簿保存法という法律があり、データで保存することができます。

電子帳簿保存法自体は、平成10年頃に出来た法律で、少しずつ改正を重ねてきました。

令和3年の税制改正で、かなり要件が緩和され、使いやすくなりました。

大きく変わったポイントは、税務署への届出が不要になった点です。

今までは事前に税務署へ届出を提出し、税務署長の承認を受ける必要がありました。

令和4年1月1日からは、何も届出を提出しなくても、データでの保存が可能です。

自分が作成した書類と相手から受け取った書類では、取り扱いが異なりますので、ポイントを記載します。

自分が作成した帳簿書類について

自分が作成した帳簿書類ついては、PCなどで作成したデータのみが認められます。

手書きで作成した帳簿書類をスキャンして、データで保存することは認められません。

手書きで作成したものは、紙で保存することになります。

例えば、複写式の領収書を記載した場合に、手元に残った控えをスキャンしてデータで保存することは認められません。

相手から受け取った書類について

相手から受け取った書類は、手書きであっても、スキャンしてデータで保存することが可能です。

この場合、

  1. データの訂正・削除を確認できるシステムを使う。
  2. データの訂正・削除ができないシステムを使う。
  3. タイムスタンプを付す。

など、上記いずれかの条件を満たす必要があります。

データで受け取った書類について

そもそも紙じゃなくて、データで請求書や領収書などを受け取ることもあります。

その場合は、印刷して紙で保存することは認められなくなります。

データで受け取ったものは、データで保存しないとダメです。

まとめ

すべてデータで保存ではなくても、帳簿はデータ、書類は紙で保存でもOKです。

ただ、データで保存する場合、細々と決まりがあります。

随分と要件は緩和されますが、データ保存をする場合は、専門家に相談することをお勧めします。