賃貸不動産の事業的規模ってなんだ?確定申告するなら知ってないとダメです。

個人で不動産の賃貸経営をしている場合、不動産所得として確定申告が必要になります。

その際に、事業として行われているか否か?という判断が必要になります。

賃貸経営って事業の一つじゃないの?と思う人もいるかもしれませんね。

この「事業として行われているか否か?」と言うのは、確定申告をする上で、理解しておかないとダメなんです。

賃貸経営が副収入の一部という位置づけで、小規模経営の人もいれば、主収入としてガッツリ経営している人もいるので、そこを線引きされて、確定申告のルールも少し変わってきます。

事業か否か?について、どうやって判断するかと言うと、国税庁HPに下記の記載があります。

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。

ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

※国税庁HPより https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm

 

ここ↑には記載してませんが、駐車場経営の場合は、50台以上が目安です。

上記に該当すると、「事業的規模」と言う表現がされます。

 

事業的規模とそうでない規模の違い

事業的規模に該当すると、税務上有利なルールが適用できます。

青色申告特別控除

事業的規模の場合、青色申告特別控除は、65万円又は55万円が使えます。

事業的規模でない場合は、青色申告特別控除は10万円しか使えません。

青色事業専従者給与

事業的規模の場合は、青色事業専従者給与を支給し、必要経費に算入することができます。

※青色事業専従者給与は、生計を一にしている家族に給与を支給し、その給与を経費算入できる制度です。事前に届け出が必要です。

資産損失の計上

不動産が老朽化等で取り壊すことになった場合、解体費用や建物の未償却残高は損失として計上できます。

その場合、事業的規模であれば、損失を計上して不動産所得が赤字になったら、損失を他の所得と相殺したり、損失を3年間繰り越すことができます。

事業的規模でない場合は、損失は計上できますが、損失を計上して赤字になったら、その損失は切り捨てられます。

例:不動産所得500万円、不動産の取壊し費用などの損失800万円の場合

・事業的規模 500万円△800万円=△300万円→この300万円を損失として計上可能

・事業的規模でない場合 500万円△800万円=△300万円→この300万円は切り捨てられ、不動産所得はゼロになる

貸倒損失の計上

家賃の未収が回収不能になった場合、事業的規模の場合は、貸倒損失として貸し倒れがあった年の必要経費にできます。

事業的規模でない場合は、貸倒損失は計上できず、収入を計上した年の確定申告をやり直すことになります。

その他

所得税だけでなく、事業税にも事業的規模と事業的規模以外では違いがあります。

事業税は、都道府県によっても違いがありますので、所得税で事業的規模に該当する方は都道府県事務所に問い合わせてみましょう。