割とよくあるインボイス制度の誤解

インボイス制度の開始まであと3か月ほどですね。

テレビでもyoutubeを見てても、今もCMが良く流れています。

インボイス制度自体は、流石に名前も聞いたことない、なんて人は居なくなってきたと思います。

ただ、誤解しているな~、と思うことが今もあります。

 

誤解その1-インボイスの登録は絶対だ!と思っている。

インボイスの登録は任意です。

インボイスは全事業者が登録しないといけない、と思っている人がいます。

これは誤解です。

ものすごくざっくり説明すると、2年前の売上が1千万円を超えると、消費税の納税義務が出ますが、消費税の納税義務がある人でも登録しなくても構わないのです(消費税の納税義務についてはこちら)。

ただ、常時1千万円を超える売上があるなら、登録しておいた方が無難ですし、登録しないと不利益を被る可能性があります。この辺の判断は、どれぐらいの規模でどんな事業をしているか?によって変わります。専門家のアドバイスのもとに検討することをお勧めします。

あと、インボイスの登録をすると、消費税の納税義務はもれなく付いてきます。取引先から登録の要請をされて、登録後に消費税を払うことになるなんて知らなかった!ということがないように。

ちなみに、令和5年9月30日までなら、インボイスの登録を取り下げることができます。

誤解その2-今(令和5年7月)からでは10月1日から登録事業者になれない。

今からでも10月1日からインボイス登録事業者になれます。

当初、国税庁は10月1日からインボイス登録事業者となるためには、令和5年3月31日までに登録申請を行ってください、とアナウンスしていました。

それが、令和5年9月30日までにインボイスの登録申請書を提出すれば、10月1日からインボイスの登録事業者になれることになりました。国税庁からの登録番号の通知が10月1日に来なくても、後で取引先に番号を通知すればいいということになります。

と言っても、後から通知なんて面倒ですし、あまりかっこいいモノではありませんので、間に合うようにした方が良いでしょうが。

そして、以前は令和5年3月31日までに登録申請が困難であった事由を記載する必要がありましたが、現在の国税庁Q&Aには、困難な事由を記載すべき旨も書かれていません。登録申請書に困難な事由を記載する欄は残っていますけど。。。

見るたびに変わる国税庁Q&Aです。

誤解その3-発行する領収書や請求書すべてにインボイスの登録番号を記載する必要があると思っている。

売り先に発行する領収書や請求書などの全てに登録番号を記載する必要はなく、どれか一つで構いません。インボイスには記載すべき一定の事項(詳しくはこちら)が決まっていますが、請求書にインボイスで必要な事項を全て記載しても良いですし、納品書と請求書を合わせると、インボイスで必要な事項が全て記載されている、ということでも良いのです。

また、インボイスの交付は、売り先の求めに応じて発行すればよいことになっています。

事業者相手に商売を行っている場合は、基本的に必要なので、請求書等にインボイスの登録番号を記載しておきましょう。

飲食店などのように、顧客は消費者と事業者の両方と言う場合で、場所柄、消費者が多くて事業者もときどき来るぐらいなら、相手から領収書を求められた際に登録番号を記載するだけでも大丈夫です。

もしレジに登録番号を設定してレシートの印字ができるなら、その方がスムーズですので、設定をお勧めします。

誤解その4-インボイスの登録を行わない事業者へは消費税相当額を支払わなくて良い。

きちんとした話し合いをしないと、独占禁止法又は下請法違反になる可能性があります。

顧客と言う地位を利用して無理強いしてはいけませんよ、ということです。

今後はインボイスの登録事業者ではない人からの請求に対し、消費税の仕入税額控除が出来なくなってきます。仕入税額控除が出来ないと、消費税の納税額が増えるので、その分は払いたくないというのは分かります。

※仕入税額控除とは、消費税の納税額を計算する際に、売上に係る消費税から仕入や経費に係る消費税を差し引くことを言います。

但し、経過措置があり、令和5年10月から3年間は、8割(消費税10%又は8%の8割)は仕入税額控除が出来ますし、令和8年10月からの3年間は、5割(消費税10%又は8%の5割)を仕入税額控除することができます。

ですので、もし納税額が増える分を負担できないのであれば、まずは、負担が増える分は値引きさせてね、と言う話し合いをして相手の了解を得ることが必要です。

最後に

何でこんなことになったの?と言いたくなるようなややこしい消費税の制度ですが、事業者としては知らないでは済まされませんので、しっかり理解しましょう。

今後もどう変わっていくか不透明です。現状でもかなり複雑な消費税の制度なのに、これ以上に複雑にするのは、もう本当に勘弁してほしいです(涙)。

とある国会議員のyoutubeでは、上記「4」に書いた経過措置を恒久的措置にしようと言っている人もいます。免税事業者が減ると必要ないですが、本当にそんなことになるんでしょうか??

分からないことは、お付き合いのある税理士や管轄の税務署へ聞いてみてくださいね。

 

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